うちの父親は10人兄弟の9番目として生まれた。
父親の親戚ではおもしろい現象が起こっていて、10番目の義理のお母さんは1番目と同い年だという。
昔は兄弟が多かったのでそういうことは珍しくないのかもしれない。
でも。
今では親子ほど年の離れた兄弟はあまり見かけなくなった。少子化の影響もあるだろう。
そして。
10兄弟のうち8人が今現在生きている。1人♀は3歳、もう1人♂は戦争中に軍事工場の空襲で亡くなっている。
父親は戦後生まれ。
ある時ふと思った。「父親は空襲で亡くなった実の兄のことを知らない。」
そう思ったらすごくさみしい気持ちになった。兄弟の顔を知らないなんて今の自分には考えられないからだ。
一度だけそのことを父親に聞いたことがある。小さく「うん」とうなずいて少し影のある表情をした。
それ以来、その顔も知らない僕からしたら「おじ」の話をしていない。
