僧'sミュージックVol.10 松田亜世 「仏法そのものやと思った」 中島みゆき『真夜中の動物園』(アルバム)

お坊さんたちに「影響を受けてきた音楽」を紹介いただく「僧’sミュージック」

今回、「僧’s音楽」に登場いただくのは、松田亜世(まつだあせい)さん。

 

金沢出身の松田さんは、真宗大谷派(お東)のお坊さんで、現在は淡路島にある浄泉寺に籍を置きつつ、ご本山にお勤めもされておられます。

さらに、なんと、松田さんはギター一本で歌を唄う、シンガーソングライターとしても活躍。これまでに数枚のCDを出されておられる他、各地でライブも行っておられます。

最新作は2014年に発売された「0」<ゼロ>。

30歳で僧侶になられてからの作品を中心に、人間のありのままを見つめた作品となっています。

 

そんな松田さんが、どんな音楽を愛し、どんな音楽から影響を受けてこられたのか。皆さまぜひご一読くださいませ!

 

シンガーソングライターとして活躍の松田さん

中島みゆき 『真夜中の動物園』(左) ご自身のアルバム『0<ゼロ>』(右)を手に

 

ライブ活動をする松田さん

 

ジャケットを自分のベッドの頭の上に張って
眺めて寝るマセガキでした
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== 初めて買ったレコードを教えてください==

おニャン子クラブ『およしになってねTEACHER』

 

小学校2年生の頃だったと思いますが、最初に買った(正確には買ってもらった)シングル盤のレコードはおニャン子クラブでした(笑)。歌として記憶にあるのは「およしになってねTEACHER」。

おそらくそれが最初に手に入れたレコードだったと思います。

ジャケットを自分のベッドの頭の上に張って眺めて寝るマセガキでした。

しかし、低学年の小学生にこのチョイスのシングルを買い与えてくれた親の心境は謎ですが・・・。

 

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== 中学時代の一曲と一枚、及びアーティストを教えてください ==

長渕剛 『ガンジス』(アルバム「Captain of the Ship」収録)

 

この歌とインドへの旅を通しての“死を自覚して生を謳歌すべし”という長渕さんのこの頃の言葉が、その後僧侶になることになる僕に大きく影響を与えているように思います。

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== 高校時代の一曲と一枚、及びアーティストを教えてください ==

友部正人さんの『一本道』(アルバム「にんじん」収録)

 

ルーツたどりをする中でたどり着きました。

高校時代に金沢のJO-HOUSEというライブ喫茶で聴いたギター一本でのライブは衝撃でした。

言葉の力がハンパなかったです。

上京後、中央線沿線に住んだのは、友部さんや高田渡さんの影響でした。

 

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== 学生時代の一曲と一枚、及びアーティストを教えてください ==

ニール・ヤング、ジャクソン・ブラウン

ブルース・スプリングスティーン、 ボブ・ディラン ‥‥

ルーツとなる洋楽を聴いていました。

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== 僧侶になってからの一曲と一枚、及びアーティストを教えてください ==

加川良『幸せそうな人たち』

 

最近出会った歌ですが、加川良さんが歌う『幸せそうな人たち』(アルバム「みらい」収録)にやられました。

「生まれた時から 僕たちは 滅びてゆく道に 花を飾る」という歌詞に心を奪われました。

加川良さんの遺作となってしまったアルバムのラストを飾る歌です。

オリジナルではなくて、カヴァーアルバムを最後に残して命終えていかれた加川さん。歌い手というものの本質をみた気がします。

歌は歌い継がれていくんですね。近々カヴァーさせていただこうと思っています。

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ヒューマニズムに埋没した説法を聞くくらいなら、
もう、みゆきさんの歌を聴いた方がいいだろうと思います(笑)。

== 特に 心に刺さった、人生に影響を与えた、心の支えになった、そんなアーティスト、曲、アルバムがあったら、教えてください。==

中島みゆき『真夜中の動物園』(アルバム)
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中島みゆきさん。

ひとつ選ぶのは難しいのですが、あえて選ぶならアルバムなら「真夜中の動物園」、曲なら『二隻の舟』でしょうか。

夜会なら「今晩屋」です。

 

「失敗ばかりの人生でした」(『今日以来』)という歌詞ではじまるアルバム「真夜中の動物園」は衝撃でした。

如来さんに炙り出された自分との格闘で生まれた歌やなぁと・・・。

アルバムを締めくくる『愛だけを残せ』の「やむにやまれぬ 人生は綱渡りだ 選ぶつもりで選ばされる手品だ」なんて歌詞は仏法そのものやと思いました。

みゆきさんがいるなら、僕はもう自分で歌を書く必要はない、歌うのやめようと思いましたもん(苦笑)。  

それから、みゆきさんといえばコンサートでもお芝居でもミュージカルでもない「言葉の実験劇場」夜会も素晴らしいです。

「正しきお方が多すぎるので 賢きお方が多すぎるので 禿は愚かで居るのが良かろう」なんて歌詞も登場する「今晩屋」という作品は、真宗の世界観そのものといってもいいと思います。

世間的には、難しいという評判の作品でしたが・・・。

DVDにもなっているのでメリシャカの読者の方にはぜひ、観ていただきたいです。 ・

人間の都合に合わせて仏教を利用するようなヒューマニズムに埋没した説法を聞くくらいなら、もう、みゆきさんの歌を聴いた方がいいだろうと思います(笑)。

みゆきさん、少なくとも「歎異抄」は読み込んでいるでしょうし、折にふれて親鸞さんの声を聞いているんだろうなぁと勝手に想像しています。

 

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== その他、オススメのCDがあれば教えてください  ==

松田亜世『0<ゼロ>』

 

僕自身唄うたいなので、自分のアルバム「0<ゼロ>」を(笑)。

僧侶になってからの最初のアルバムで、ギターの弾き語りとピアノとバイオリンとのライブ録音を中心としたアルバムです。

「自分の引き受け手は自分以外にはゼロ」、「どんな人生でも、私は私でしかない」そんなメッセージをアルバムに刻みました。

 “なるものはなるし、ならぬものはならぬ”、そんなことを歌った『犬が西向きゃ尾は東』という歌は、僕が死んだ後も誰かが歌い継いでくれるといいなぁと思っています。

 

 

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仏法をなぜ聞くかといえば、

どうしようもない自分がここにいるからだと思うんです。

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続いて音楽以外の事についても聞かせてください

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== 好きな漫画とそのオススメポイントを教えてください ==

漫画は、ほとんど読むことがないんです。

小学校の頃は、日本の歴史マンガが好きでした。

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== 好きな映画とそのオススメポイントを教えてください ==

『タカダワタル的』

 

国が認めない人間国宝・フォークシンガー高田渡さんのドキュメンタリー映画です。

“少欲知足”を体現した生き方がここにあります。僕が13年ほど住んだ吉祥寺の町。

井の頭公園や老舗の焼き鳥や“いせや”にふらりと三輪自転車で現れる渡さん。

渡さんもいなくなり、吉祥寺の町も随分変わってしまいました。

僕が大好きだった“吉祥寺”がこの映画にあります。間違いなく、僕の青春です。

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== オススメの旅先 オススメポイントを教えてください  ==

バイカル湖

 

とにかく素敵です。

夏と冬、両方訪れたことがありますが、夏の透明な湖の碧さには溜息がでます。

そして、マイナス40度の氷に閉ざされた冬の厳しさもまた、なんともいえません。

イルクーツクという街にロシア人の友人もいるのですが、彼らとウォッカ呑んでサウナ入って、水風呂代わりに氷点下の世界に飛び出す、こんな陽気なことはありません!

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== 好きな仏語を教えてください ==

「いずれの行もおよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし」『歎異抄』 

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仏法をなぜ聞くかといえば、どうしようもない自分がここにいるからだと思うんです。

逃げたい、逃げたいと思っていたとしても、今ここ、この自分を離れる訳には決していかない。

清澤満之先生が「自己とは他なし、絶対無限の妙用に乗託して、任運に、法爾に、此の現前の境遇に落在せるもの即ち是なり」と仰っておられますが、「そうなっとった」という救いしか許されていない私に驚くしかないですね。

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== 僧侶としての、一番のであい(人物や事柄)を教えてください ==

“夜明けの前は闇にきまっている。闇に先立つ夜明けはないことである”

という高光大船先生の言葉です。

 

得度した翌年、大谷派の教師資格を取るコースで学ぶ中で、真宗学を教えていただいた水島見一先生から「絶対に救われることのない私の自覚において、はじめて救済される」ということとともに高光大船先生のこの言葉を教えていただきました。

ここに、生まれてはじめて地に足がついた気がします。

落在とは、そういうことなんでしょう。もう落ちようのない世界に実は僕もはじめからいたんですね。

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== 今、もし僧侶として何かテーマがありましたら教えてください  ==

テーマということはないのですが「生活」

 

手本ではなく救われた見本として生活していく、そのことに尽きるような気がします。

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== メリシャカに対して、読者に対して一言お願いします ==

仏教、僕にとっては親鸞さんということになるのですが、ロックでパンクなんだと思います。

中途半端ではない、真の自由! 徹底的に一人(個)というところで、どうしようもない人間という存在を仏さんに見破られてみれば、そこには広い大地に立たされる自分の影が確かにしっかりあるだけでした。

 

松田亜世さんありがとうございました

いつか、メリシャカLIVEにもご出演を!]

]」

松田 亜世(まつだ あせい)

本名:望月 亜世(もちづき あせい)/

法名:釋亜世

真宗大谷派 浄泉寺衆徒(兵庫県洲本市)

1979年6月5日石川県金沢市生まれ

石川県立金沢泉丘高等学校在学中から本格的に音楽活動を開始

上京後、中央線界隈のライブハウスを中心に活動 慶應義塾大学法学部政治学科卒業 アルバイト生活や自営業の後、30歳で得度、真宗大谷派僧侶となる

フォークな唄うたい・シンガーソングライターとして、これまでにミニアルバム「がんばるまっし」、シングル「思ひ出雪/鳥越にて/天漢」、アルバム「おかえり」、アルバム「0<ゼロ>」をリリース ライブ活動の他、寺院において歌を交えた法話“法話ライブ”も積極的に行っている

【公式HP】http://asei.info

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