行って帰り
- 2012年08月07日(火) 文:kensho
- 仏声人語
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僕が幼少の時、今は亡き祖父がよく言っていた言葉がある。

それは出かける時のこと。
「行ってきます」と言うと、大抵は「行ってらっしゃい」と声をかけると思う。
うちの祖父は違った。
「行ってきます」と言うと「行って帰り」という言葉で元気に送り出してくれたのである。
私が幼少期のころこの言葉をかけられると、なんだか妙に安心し出かけていった記憶が有る。

『仏説阿弥陀経』というお経には〈倶会一処〉(くえいっしょ)という言葉が出てくる。
浄土の人々とひとところにて会えるという意味で、先に浄土に往生している先達とまた会える世界を喜び、生命の連続を実感できる言葉でもある。
私が出かける時にかけてくれた言葉「行って帰り」は、あなたが出かけて行っても安心して帰ってくる処があるよ、と阿弥陀経の〈倶会一処〉のお心を届けてくれていたのだと大人になって深く胸の奥底に響いている。
「行って帰り」とはすなわち、「仏さまの願い」の中で生かされている、私たちは大いなるいのちへと帰っていく、大いなる安心をもたらす言葉として祖父は言ってくれていたに違いない。
我が家では今後、祖父が言っていたこの言葉「行って帰り」を受け継いで娘たちにも伝えていこうと思う。
今は亡き祖父とも「ひとところにて会える」道を歩んでいるよと。
行って帰り。
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