カルトに気をつけろ!

先日、とある人と話をしていると、こんな話になりました。

「最近、仕事関係の人からちょっと変なことを言われてさ」

「どんなことですか?」

「なんか、『なんで人間に生まれてきたのか、理由を知りたくないか?』だって」

「え?」

「突然おかしいでしょ?で、話を聞いていると、どうも宗教の勧誘みたいで…」

「ああー… それで、どうされたんですか」

「いや、断ったよ。ウチは浄土真宗の門徒なんで、って」

「おおー、さすがですね」

「まあその時はそれで済んだんだけどね…」

 

「まだあるんですか?」

「今度は親戚から、同じようなことを言われて…」

「え、『生まれてきた理由を知りたくないか』って!?」

「そう。しかも、夫婦で話をしに来るもんだからさ、大事な話と思ってたんだけど、まさか宗教の勧誘とはね…」

「それで、どうされたんですか?」

「うん、同じように断ったんだけど、今度は宗教に入らないと、お前、不幸になる、って言い出して。まあ自分のことはさ、これまで自分が好き勝手生きてきたことだから、不幸になるって言われても、まあそれはそれで仕方ないよ、って言うんだけど、次はお前だけじゃないぞ、って言い出して。今、母親がちょっと最近年も年だし、体の具合が芳しくないんだけど、それもお前が宗教に入らないせいだ、って」

「…酷いですね」

「そう。でも、まあそれは年齢だから仕方ないって言うとさ、今度はお前の子どもも不幸になるって言い出してさ。それが嫌なら、宗教に入れって。そうすれば、仕事も上手くいくし、家族も不幸にならないから、って」

「あんまりですね。だいたいお子さんまで不幸になるって、どんな不幸になるんですかね?」

「それを聞くと、はっきり言わないんだよね。でも、子どもも不幸になるって。俺、もうそれが許せなくてさ。なんでそこまで言われなくちゃいけないんだって。宗教に入る入らないは俺の問題なのにさ、子どもまで不幸になるって決め付けられて、ふざけるな!って思ったね。そんなの、どう考えてもまともじゃないよ」

「まともじゃないですよね…」

「しかも、入るのには30万円要るんだと。そのお金を出すことによって、正しい心を証明できて、心とか持ってるお金も浄化されるんだって。なんだそれって感じじゃない?」

「よくわからないですね…入るだけでそんなお金要るとは…」

「そう。しかも、あの人も入ってるし、あそこの会社の社長も入ってるし、有名人だっているから、お前も絶対入るべきだ、って。なんかどうも、そうやっていろんな人に、仕事関係やら親戚やら、断りにくそうな人を使ってアプローチしたりするみたいよ。なんか宗教って言うよりも、マルチ商法みたいでさ。しかもその宗教の勧誘のせいで、不幸になるとか言われたり、これまで仲良かった親戚ともギクシャクして、ホント最悪だよ。」

「ホントですね」

「まあ2回断ったし、たぶんもう来ないと思うけどね」


と、このような感じでした。


私はこれを聞いて、なんと酷い宗教だと感じました。というよりも、これは宗教ではなく、「カルト」です。人をむやみに不幸になると脅し、信者になれば幸せになるとありもしない話をし、そして法外なお金を要求し、他人を強引に巻き込もうとする。そんなことをする団体に、「宗教」の名を語って欲しくはありません。

「宗教」は、真実を教えてくれるもの、私を目覚めさせてくれるものです。仏教では、私には様々な苦しみがあるあることを教えてくれています。人として生まれたものは誰しもが年をとり、病を得、いつかは死を迎えます。欲しい物が全て手に入らないこと、大切な人とも必ず別れていかねばならないこと、世の中は自分の思い通りにはならないこと。厳しいことではありますが、それが私の「現実」なのです。その厳しい現実をどう生きて行くか、その指針となるべきものが、本来の宗教の役割でしょう。


もしその「カルト」に入れば不幸にならない、というのであれば、これらの現実から逃れることができるとでも言うのでしょうか?そんなはずはありません。「カルト」を信じれば、不幸にならない、間違い無く幸せになるというのは、真実を伝えているどころか、現実から目をそらし、人を惑わし、かえって不幸への道を歩ませているのです。そればかりか、「カルト」に入った人だけが幸せになれて、入らなかった人は不幸になると呪いのようなことを言うなど、どこまで自分勝手なのでしょうか。


「宗教」は物理的で刹那的な幸せを与え、不幸を一時的に回避するための道具ではありません。むしろその「幸・不幸」の根本にはなにがあるのかを私に問い、「幸・不幸」という私の価値判断の基準を超えた人生の歩みを教えてくれるものです。「カルト」と「宗教」の違いは、こういうところにあるのだと思います。


会話の中でもありましたが、「カルト」はその人が断りにくそうなところから誘いをかけてきます。「不幸になる」と言われて不安になったり、その逆の甘い言葉に、ついのせられてしまうということもあるかもしれませんが、もし皆さんが誘いを受けたときには、このコラムを思い出していただいて、どうぞ冷静な判断をしていただけたらと思います。

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