ウサギとカメ


誰もが知っているイソップ童話の「ウサギとカメ」のお話。

ご存知の通り、ウサギとカメが競争し、その途中で昼寝を始めたウサギを横目に、遅れていたカメが追い越し勝利するという物語だ。

読み聞かせ童話集にあるこのお話を読むと、4歳の息子は決まって「なんでウサギは寝ちゃったの?」と聞いてくる。

もしこれが国語の問題なら、「のろまなカメに負けるはずがないという過信がウサギにはあったから」と答えただろう。

そう考えて、ふとこの童話の内容は国によって受け取り方が異なるという話を思い出した。


 

それは日本や欧米諸国では私が思うのと同じように、ウサギの慢心をいさめる視点で読むのに対し、インドではカメに非難が集中するというものだった。

なぜかというと、ウサギが寝るまでの舞台裏を知っている読み手は、それがただの昼寝だと承知しているが、通りすがりのカメはそのことを知らないはず。
もしかしたら、ウサギは具合が悪くて倒れているかもしれないのに、声もかけずに通り過ぎるカメの態度を咎める視点でインド人は読むのだそうだ。

その話を聞いて、童話から道徳や教訓といったものを読み取るならいが、かえって視野を狭めてしまっていたように感じたことを思い出した。

小さいころ足の速かった私と、のんびり屋な息子。
物語を通して見えてくる世界はきっと異なることだろう。

だからこそ、「なぜウサギは寝てしまったのか?」という問いを大切に持ち続けていて欲しい。
そして、その問いにその時々の答えを見出していって欲しい。

それが、その問いを抱くこともなく、慢心を抱えていたことにも気づかぬまま大人になってしまった私からの息子への願いである。

 
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